【感想レビュー】坂下唯々菜ルート【アインシュタインより愛をこめて】

今回は、エロゲ『アインシュタインより愛をこめて』の坂下唯々菜ルートの感想レビューをしていきます。

全体レビュー、各キャラクターの説明はこちらをご覧ください。

以下、重大なネタバレを含みます

あらすじ

坂下唯々菜

  一目惚れした相手を科学特捜部に入部させろ

彗星病の治療のために、有村ロミに唐突に言われた愛内周太は悩む。
なにせ彼は、青春や恋愛はおろか、まともな人付き合いすらできない社不だ。

浮かない表情で学校へ辿り着いた周太は"天使"を見た。

彼女には羽が生えていた。少なくとも周太にはそう見えた。目を離した瞬間、その羽は消えていた。

しかし、周太は確信する。彼女――坂下唯々菜こそが自分の一目惚れの相手、マイ・エンジェルなのだと。

坂下唯々菜について

部活は吹奏楽部。
立ち絵の通りの美少女だが、それ以外はこれと言って特徴がない。究極的に"普通"。
気が弱い素朴で控えめなキャラだが、意外と自分の意志を持っている。
空気の読めない周太に振り回される。
美少女の見た目に反して、ラーメンの食べ歩きが趣味というギャップ萌え要素あり。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

感想

個人的にアインシュタインより愛をこめての中で、坂下唯々菜の見た目が一番好みだったので、ルートを始める前から期待値はMAXでした。

彼女に唯一与えられた"普通"という特徴。始める前は、影の薄い陰キャ美少女として学園青春物語が展開されるものだと思ってました。

しかし、"普通"すぎることで周りから忘れられてしまっているかもしれないという謎の設定。

 ともすれば、突飛な設定過ぎてギャグルートに突入してしまうのでは?!

と少し心配になりました。

後半になるにつれて明らかになる彼女の彗星病の特性、"テレパシー"
坂下唯々菜という人物は実在せず、テレパシーの能力を持つ彗星病患者である界狩蛍が"世界"に、そして"彼女自身"に見せた"夢"であったという壮絶な設定。

異能を持つ"異常者"として生きていくしかない。そんな絶望的な状況の中、彼女は病室で"普通の人生を歩むこと"を望む。部活の典型例の吹奏楽部に入って、友達を作って、他愛もない会話をして、そうして放課後も一緒に帰って……
そうして出来上がったのが究極的に"普通"である坂下唯々菜であった……

一見安易に思える設定の裏にこんな深い背景がが隠されていたなんて。彼女が普通であるという設定にもちゃんと意味があり、その伏線が物語が後半に近づくにつれて次々と回収されていき、とても引き込まれました。

自分の思考が周りの人間に漏れ出してしまう。そんな絶望的な状況の中で狂ってしまった蛍。彗星機構は、そんな彼女を司令塔"メシア"として雇う。

この辺りで、新田忍ルートでアインシュタイン=周太に指令を送っていた、語尾が「~にゃ」である謎の人物の正体が明らかになり、改めてとても綺麗に構成された物語だと感服しました。

精神の崩壊により自分を猫だと思い込むなんて、それまでに彼女が経験した沢山の苦難を想像するだけでとても辛くなります。
ですが、この"残酷さ"を包み隠さずそのままプレイヤーに見せるダークな側面が、この『アインシュタインより愛をこめて』という作品の魅力なんだと思います。

ギャグ要素をふんだんに盛り込みながらテンポよく進む物語。学園青春モノとして素晴らしいクライマックスを迎えたその瞬間、彼女が消えてしまうという儚さも、言ってしまえばありがちではありますが魅力的で、純粋な美少女ゲーとして見ても個人的に好きなルートでした。